大判例

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東京地方裁判所 昭和38年(ワ)7402号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕なお、右の原告が報酬として純益の一割に相当する金員の支払を受ける約定における「純益」の意味内容について考えるに、およそ純益なる用語は種々の意味に用いられ、企業会計上は、現実の収入より現実の支出を差引いた額ではなく、固定資産の減価償却費を経費に計上し、或いは売上高には未収金をも計上する一方貸倒償却費を経費に計上する等、現実の収支に種々の修正を加えて純利益ないし純損失を計算し、これにより企業経営の良否をなさるべく忠実に示すことを理想とするけれども、中小の企業にあつては実際の現金の収支を比較して収入より支出を差引いた額をもつて純益と称することの方がむしろ一般であることは当裁判所に顕著であり、殊に純益を報酬計算の基礎とするからには、現実の収支によつて純益を計算するのでなければ、例えば貸倒れの多い場合には報酬支払の資金に不足を来すこともあろうし、他方償却費の計上が経営者の恣意によつて過大となれば、それだけ報酬が少くなる等の不都合を生ずるから、現実の収支によつて純益を計算する方が中小企業にあつては多くの場合適当であり、ただし、所得税、事業税、住民税等所得を課税標準とする(もつともこのことは住民税については所得割についてのみ妥当する)税金については、この所得の計算につき使用人の給料は経費とされるのであるから、純益を基礎として使用人の給料(原告が被告の使用人であることはいうまでもない)を定めるにも右の各税金はこれを経費に加算する以前の段階で報酬を計算するのがより妥当であると解される。(今村三郎)

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